大人のたしなみ blog

映画、読書、旅日記をつれずれなるままに

あなたの中の異常心理


『あなたの中の異常心理』 岡田尊司

性に対して不器用で、ぎこちなく、心から楽しめないという点も、完璧主義の人にみられやすいが、そこにも、本能を自由に開放できない、完璧主義の人の縛られた心が関係している。
このタイプの人は理性が発達し過ぎていて、自分の本音や感覚を抑えてしまい、建て前や形式的なスタイルや世間的な評価といったもので物事を見ようとする。結局、自分自身が何を望んでいるのかを本当には知らないということも多い。
完璧主義の人は、ファンタジーや理想の世界では、自分の憧れの対象を見出すことができる。そうした仮想世界では。瑕疵のない完璧な存在が手に入るからである。アイドルやスターといったものに、理想化された存在を映し出す人も多い。
だが、現実の存在や異性を前にするとき、完璧主義者には、目の前の対象はあまりに不完全で醜く、滑稽で、愛情よりも幻滅を催させてしまうのだ。たとえ、理想的に思える存在に出会えたとしても、彼らは自分の気持ちを素直に表現できない。善や美へのとらわれが、自分の欲望を告白することをためらわせるのだ。あなたの裸が見たい、あなたとセックスがしたいという願望を素直に口にするには、あまりにプライドが高すぎるのだ。なぜなら、欲望を口にすることは、自分の中に欠如や飢餓があることを打ち明けることであり、それは自らの完全性を否定することにほかならないからである。