
『言ってはいけない 残酷すぎる真実』 橘玲著
「親は無力だ」というのは間違いだ。なぜなら、親が与える環境(友だちの関係)が子どもの人生に決定的な影響を及ぼすのだから。
このように考えれば、親のいちばんの役割は、子どもの才能の芽を摘まないような環境を与えることだ。
知的能力を伸ばすなら、よい成績を取ることがいじめの理由にならない学校(友だち集団)を選ぶべきだ。女性の政治家や科学者に女子校出身者が多いのは、共学とちがって、学校内で「バカでかわいい女」を演じる必要がないからだ(必要なら、デートのときだけ男の子の前でその振りをすればいい)。同様に芸術的才能を伸ばしたいなら、風変わりでも笑いものにされたり、仲間外れにされたりしない環境が必要だろう。
だが有名校に子どもを入れたとしても、そこでどのような友だち関係を選び、どのような役割を演じるかに親が介入することはできない。子どもは無意識のうちに、自分の遺伝的な特性を最大限に活かして目立とうとするだろうが、それは多分に偶然に左右されるものだ。
もちろんこれは、「子育ては無意味だ」ということではない。人生とは、もともとそういうものだから。