大人のたしなみ blog

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空気を読む脳

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空気を読む脳 中野信子(著)

 素質をただ無条件に褒められた子が挑戦を厭うようになる一方で、努力や工夫を褒められた子どもは、困難を喜んで受け入れ、自分の失敗をむしろ学びと考える傾向が高くなったという結論から単純に導き出せるのは、「その人の努力や工夫に焦点を当てて褒めていこう」という原理です。

 南海ホークス当時の野村克也監督は、選手にペーパーテストを受けさせることがあったそうです。しかし、テストのあとで評価基準を聞いてみると、正解かどうかは二の次で、「少々間違っていても、一生懸命考えて、たくさん書いてくるほうが、ワシは好きや」とおっしゃっていたということです。
 江本さんは、「要するに、物事に向き合う姿勢を、テストされていたことになる」と述べていますが、野村監督はその選手の知識量や「頭の良さ」を褒めるのではなく、「努力」と「工夫」とを褒めていたのです。「再生工場」と呼ばれた野村流の才能の伸ばし方は、科学に裏付けされたものでもあったわけです。