「ズルさ」のすすめ
『「ズルさ」のすすめ』 佐藤優著
基本的に組織である以上、上の命令には背けません。ただし例外は「数字を毎回出す人」と「専門知識や特殊能力がある人」。こういう人は多少の意見も許されます。
ただ、その場合でも、言い方が非常に大切です。一方的に自分の考えを主張するだけでは通るものも通りません。たとえ論理的に正しくても、上や会社に必要な人材でも、いずれスポイルされてしまうでしょう。
意見する際の大義名分として便利な言葉がいくつかあります。たとえば「士気」や「利益」、「効率性」という言葉。「今のやり方ではなく、このようにすれば部署の士気が上がる」とか、「こうすれば利益が出る」「こう変えれば効率が高まる」という言い回しをするのです。自分のためでなく、あくまでも組織のために意見を言ってることを強調する話し方なら聞いてもらえる可能性はあります。
ただし、組織に対して異を唱える場合、一つの案件に対して異を唱える場合、一つの案件に対して3回までというのが僕の考え。その3回も、できるならそれぞれ違う理由が望ましい。それで、3回意見しても受け入れられなければ、潔くあきらめて組織の決定に従うこと。
大切なのは、自分の意見に固執する偏屈な人間と思われないことです。「あいつはいろいろ言うが、最終的には従うやつだ」となれば印象も違うし、以後も意見を言うことが許されます。意見を主張するときは、ここまでという見極めと引き際が大切です。