大人のたしなみ blog

映画、読書、旅日記をつれずれなるままに

給与クライシス

f:id:chatobo:20210224101859j:plain
給与クライシス 平康慶浩(著)

 もしあなたが上司に「この企業の業績について調べておいて」と作業を指示されたとしたら、まず何から始めるだろう。もちろん、期限、目的、誰のために必要か、まとめる際のフォーマットについて確認したうえでだ。
 普通ならGoogle検索を使って企業のホームページを見てみたり、対象が上場企業であればファイナンス系のサイトで情報を収集したりするだろう。慣れている人であれば、そこからIR情報や財務諸表などを複数年分ダウンロードするかもしれない。無料でダウンロードできる有価証券報告書を読み込み、損益計算書貸借対照表の経年推移も見るだろう。
 もしあなたがそういうふうに作業を始められるとしたら、少々まじめすぎるか、あるいは自分の能力を信じすぎているかもしれない。
 デジタル時代においては、無知の知、から始めることをお勧めしよう。
 そもそも自分で調べられることには限界がある。たとえば日経テレコンのような有料サイトの契約をしていれば、新聞や雑誌の記事から関係する事象を検索できる。
 証券会社に口座を持っていれば、アナリストによるレポートを確認することもできる。
 時にジャーナリストや研究者が、あなたの求める情報についての分析をすませるかもしれない。しかしそれが雑誌の記事や書籍であれば、物理的に入手しなければ確認することはできない。
 デジタル時代だからこそ、インターネットなどのデジタルな世界で集められる情報と、そうでない情報とがそれぞれ存在することをまず念頭に置いておこう。
 次に、欲しい情報をすでに知っている誰かがいることを考えよう。それは先ほどあげたアナリストかもしれない。その誰かにアクセスする方法を考えてみることだ。
 また、デジタル時代には日本語以外へのアプローチも容易になっている。Google翻訳やDeepLによりリアルタイム翻訳のレベルは十分使用に堪えるレベルに達している。欲しい情報が日本語以外で提供されている可能性があるのなら、ぜひ試してほしい。
 読むことの目的は、知識を得ることだ。さらにその背景にある文脈を理解し、本質にたどり着くことだ。そのためには、自分の頭だけでなく、他の誰かや先人たちの頭脳を活用すればいい。デジタル時代にはそのためのアプローチがいくらでも用意されているのだから。